先日はお彼岸だったもんで、父方の実家までお墓参りに行ってきた。

場所はどこかと云うと、福島県白河市である。
福島特有の云い方だと「中通り」に当たるトコで、しかも栃木との県境に近いから、あの有名な「浜通り」ほど被害は甚大ではない。
とは云え、土砂崩れで家が倒壊して人が生き埋めになったというニュースが震災直後の早々に流れたぐらいだから、被害の度合いはコッチとは比べモンにならない。
しかもその土砂崩れ、実家より一本向こうの通りなんだから辛うじてセーフだった格好だ。
幸い実家は15年ぐらい前に総改築していたおかげで致命的なダメージは負わずに済んで、みんなも無事だし元気にやっているという話は聞いていた。

実家に着くとアレコレ料理を作って待っていてくれて、いやーよぐ来たなー、疲れたっぺよー、って嬉しそうに迎えてくれるトコなんか普段通りの賑やかな家庭なんだが、よくよく見ると、新しくて頑丈なハズの家には所々ヒビが入っているし、天気がいいと云うのに洗濯物は家の中で干している。
つーか、基本的に、ご近所さんも外に洗濯なんか干してない。
いつもバカ陽気で楽しいおばちゃんも、最近はぁ眠れなぐてクスリ飲んでんだーなんて云ってる。
やっぱ福島県は、そんなにアマイ場所ではなかったんだな。
見えない放射能と、緩んだ地盤と、震度6強の記憶という恐怖の中で生活している。

いとこの嫁さん、年齢が近いせいもあって親近感があるもんで、オレにはいろいろ話してくれた。
家は潰れずに済んだものの、家の中は気が遠くなる程荒れ果ててしまい、頻繁に余震が来る最中では片付けようも無く、最初の一週間ぐらいは車の中で生活してたそうだ。
お金はあったものの、肝心の食料が売ってないせいで、お金の価値観が崩壊したという。
結局お金なんて持っていても、いざって時に何の救いにもならないという目に散々遭い続けてきた事で、現代を生きる上では余計な種類の悟りを開いてしまっている。
そして、やっぱり今の生活もまだまだキツイらしい。
みんなは「がんばろう東北」なんて焚き付けるけど、コッチは放射能なんていう得体の知れないモノが相手なんだから、下手に頑張って取り返しの付かない事になったらどうしてくれるんだと云う。
そして何よりも参ってるのが、風評被害なんだそうだ。
他県に避難してみれば、放射能が移るとか云われてみんなに敬遠されちゃうという。
そーゆーあまりにもくだらない事例はコッチでも多少は報じられたが、実際は多少どころでは無く、「隣の誰々ちゃんが~」「あそこの誰々さんも~」といった身近なレベルで存在している。
だから今や、福島は完全に孤立してしまった、という絶望感を皆が持っている。
そしてオレが滞在中も、頻繁に余震が発生した。
揺れとしては震度1ぐらいだからいちいち全国ニュースではやってないけど、東京と比べると余震の数は格段に多い。
やっぱり実際に来てみないと分からないもんだ。福島はまだまだ厳しいという現状までは伝わって来ないもん。

白河に行く楽しみの一つが、ラーメンやそばを喰らう事である。
白河ってのは清水に恵まれた地で、市中至る所で沸いている美味しい清水がラーメン処やそば処として成立させていると云っても過言ではないくらいだ。
なのに、その清水も雨水が混じって危険だからと封鎖されてしまった。
おそらくそのせいだろう、去年と比べてひと味落ちてしまったのがハッキリと分かった。
オレが4歳の頃から世界一旨い食べ物だと思っている白河のラーメンがこんなカタチでレベルダウンしてしまうなんて、あまりにも可哀想すぎるよ。オレが。じゃなくって地元の皆さんが。
一刻も早く福島が以前の姿を取り戻せるよう、心よりお祈り致します。
天然ボケの名産地なんだよね、福島って。妙なキャラをよく輩出する。そんな事はどーでもいいか。