最近、少食になった。

つーか、人並みになったという方が正解かも知れん。
オレは30歳ぐらいまでは、大食い人種だった。
高校生の頃、チャレンジラーメンと云って、超大盛ラーメンを15分以内で完食すれば無料、できなかったら代金1500円(当時のラーメン代は平均350円)というのがあって、オマエだったら喰えんだろと連れて行かされた事がある。
店にはチャンピオンの名前とタイムが掲げてあって、へー最高記録は11分かあーと思って見てたら、目の前に洗面器のような巨大などんぶりを置かれて、完全にオレの出る幕じゃないと思った。
こんなバケモン企画に挑戦させやがった友達を恨めしく思い「こんなの無理に決まってんだろ」と云ったものの、すでに引っ込みがつかない状況なので仕方なく食べたら、6分を切ってしまった。
修学旅行に行く時は、普段は貧乏な学生も小遣いをたんまり持って来るもんだから、旅の思い出に豪華な昼飯を喰おうという事になり、ステーキ屋に入った。
1500円でライスおかわり自由というランチを注文すると、結構な量のどんぶりにご飯が盛られてやって来た。成る程、フツーの人ならば二杯目もこの量のライスが来るのかと思うと尻込みしてしまうって寸法だ。ただ、オレらは食欲旺盛な高校生である。全員がおかわりをしたのだが、オレは残念な事に6杯おかわりして、7杯目をもらおうとウェイターを散々呼んだが、ついに無視されるようになってしまった。でもまぁ、それでも腹八分目という事で良しとしてあげる事にした。
K社に入ったのが12月中旬という、何とも中途半端な時期だったせいで、その2週間後にささやかな新年会をやった頃は、会社の人達の事をあまりよく知ってなかった。
会議室で結構な量の寿司が振る舞われたんだが、そこで会社の大男たちの間で「オマエは結構メシ喰うよなー」「こないだ何とか丼を何杯喰っちゃいましたよ。そーゆー○○さんも相当喰いますよねー」などと大食い伝説が展開されたのを、わー、みんな底なしなんだなーと感心して聴きながら腹五分目あたりまで来たら、全員の手が止まってしまったんだからビックリですよ。
オレ内ではまだ折り返し地点のつもりだったから、新年会の後半は入社したばかりの得体の知れないぺーぺーが一人で寿司を平らげるのを全員が見守るという、なかなか気まずい内容になったという。
ただ、これらの大食い例は若い頃だから可能な話。この年齢になっても相変わらず燃費の悪い食生活のままでいたってイイ事なんかありゃしねえ。
ってのを、逆流性食道炎になってから気づいた始末である。
つーか、基本的に最近金ねえし。だからこれからはより低燃費に、エコロジーに行こうと思いつつ。

車を運転する時も、なるべくエコな走りをしようと実行中。
燃費っつーのは、要はエンジンをいかに回さずに遠くまで行けるかっつー事だ。
できれば2000回転程度で80km/h以上の高速走行と洒落込みたいトコだが、そんなの都内では特に、高速に乗らない限りはムリに決まっている。
じゃあそこは都内なりに妥協して、せめて低速走行時でも低回転を徹底したらマシな燃費にならんのかしらんと思って、試しに信号が青に変わったところで2000回転以下をキープしながら発進してみたら、イライラした。あまりにも遅すぎる。
ところが人間ってのはエライもんで、最初はじれったく思いながら低回転発進をしていたのに、続けているうちにそれが自然の理であるかの如くに体に馴染むと来た。
オレもいよいよ、地球にも財布にも優しい21世紀のカタチになってきたんだなあと(ホント云うと財布の方が重要)感慨に耽りつつ今日もスロースタートをキメていたら、後ろからプリウスが思いっきり煽ってきたんだから21世紀的にはとっても間違っていると思う。
プリウスなんていうエコの代表ヅラをした車に、エコの風上にも置けないヤローが乗ってやがった。
世の中に腐るほど存在する車種の選択肢から、一体何を基準にプリウスを選んだのだろうという、ヤローのプリウス感が非常に気になるところだが、そーゆー車の視点がブレたヤローなだけに、オレのマッシーンが所詮プリウスごときをチギるなど容易いという事実を知らないんだろう。
でもまぁ、そうは云っても、プリウス相手に向きになるアホウも居たもんじゃないから、引き続きオレの21世紀志向にプリウスを付き合わせてやった。フツー逆だと思うが。

車が活躍する一方、せっかく買ったバイクはと云うと、全然乗れていない。
単純に寒かったのと、先月はゲロ忙しだったのと、手首を傷めてしまっているのが主な理由だ。
駐輪場には柱があって、バイクをキタコロックで結んで留めているから、防犯にはまあ良い場所だ。
ただ、その駐輪場というのが、段差を乗り上げ傾斜を乗り越え、大木の根っこまで跨いだ先に在るんだから厄介だ。入れるのはアクセルを捻れば入るが、いざ出す段取りとなると、そこは車重300kgを超えるハーレーダビッド息子ですよ。難易度Eぐらいのテクが必要になってくる。傷めた手首に堪えるし、手首が健康でも体力が要るし神経も使う。
それでなくても、盗まれたくない一心でロックを厳重にしすぎてしまい、開錠するのもひと手間だから、正直何かと億劫な要素は多い。
だから先日の朝は天気予報で、午後から晴れて暖かくなると云うから、これはバイクで出勤するには絶好だと一瞬思ったものの、いや手首が傷むとか、いや開錠してたら遅刻するとか、いやこれは仕事に乗って行くもんじゃない、遊び専用で使う事こそが本領なのだと尤もそうな事を並べて結局行かなかったところ、昼間に一雨降り、周りの車には黄砂が雨と一緒に車体にべったり付着していて、ホラ見ろやっぱりバイクで来なくて正解だと自分を正当化して納得した。完全に及び腰である。

旧友のチャタコツ君に会ったら、これからバイクの査定に行くと云われて方々付き合わされた。
確かCB1300とか云うバイクを持っているんだが、自分の乗り物にはとりあえず過剰なカスタムをしないと乗れないのがこの男の病気で、遠方のショップでしか売っていない、オリジナルのカスタムバイクをわざわざ買ったら、ノーマルが2台買える程の値段になった。
そのお高いバイクが納車した直後に富士山方面へツーリングに行ったら、なまじ重くてレーシーなタイプを買ったもんだから、やれ重いの疲れたのと不平ばかり云って、以降は乗らなくなった。
結局、観賞用として3年ほど自宅の前に立て掛けておいた末の売却劇となった。
そんな経緯だから、二人会えば当然、オレはチャタコツと違ってこれから散々乗って乗り草臥れるんだと云い、チャタコツはオレの事を自分の二の舞を踏むと見ているもんだから、買ってから何キロ走ったとか、最近はいつ乗ったとか執拗に訊いてくるから、オレも負けちゃあいない。
「今は冬だから冬眠させてんだよ。で、その間にバイクに乗りてえ乗りてえっていう欲求、って云うより、オレの場合はバイク愛なんだけど、そーやって愛情を溜めて溜めて・・・ピークまで溜まった頃にドーン!と乗るんだよ」などと屁理屈をコイたら、チャタコツも云う。
「だったら一緒じゃん。オレも今までずーっと愛情を溜めて溜めて・・・ドーン!と売るんだよ」
売っちゃあダメだろ、売っちゃあ。ドーンはいいけど、愛情が完全にあさっての方に向いてやんの。

高校生の頃、チャタコツとアイススケートに行った事があって。
昼の3時頃に到着するなり、チャタコツは「腹減んねえ?」と云う。確かに腹減ったなーと思ってラーメンを喰って、スケートリンクを一周滑ったらまた「腹減んね?」と云ってきた。
オメー、今喰ったばっかぢゃねえかよー、とツッコミながらもまた一緒にラーメンを喰ったんだが、2時間ほど滑って帰る段取りとなったところでまた「腹減んね?」と来た。
減んねーよ!と云いつつも付き合いでラーメンを喰ったんだが、その時、チャタコツにだけは大食いで勝てねえと思い知った。
そんなチャタコツのくせに、今やマックのハンバーガーとポテトとドリンクのセットだけで腹一杯で吐きそうとか云ってる。お互い衰えたもんだねい。