一月の日記で書いた、委員の任期がめでたく終了。

その間、友人のチャタコツ君から電話があった。
この、小学校からの友達はごく近所に住んでいるんだが、偶然オレと同じ時期に委員を任されていた。
委員になるとそのエリア一帯の委員名簿が届けられる。この土地の出身者としては同級生の消息とかが気になるもんで、どれどれ懐かしい名前でも載ってないかしらんと一目見た途端、不覚にもチャタコツの名前が真っ先に目に入ってしまった。
オマエが委員っていうガラか。しかも全然懐かしくねえし。
そのくせ肝心の「懐かしい名前」には全く巡り会えず。

そのチャタコツが電話で「明日の消防訓練どーする?」と訊いてきた。
チャタコツも悲しいかな、懐かしい名前でも探そうと名簿を見て、真っ先にオレの名前をロックオンしてしまったのだ。
委員は一応、その消防訓練への参加を義務付けられていて、チャタコツ邸には役員のオッサンから、消防訓練の事でしきりに電話がかかってきているらしい。
オレは留守しがちだし、数年前にこのエリアに復帰したばかりで、役員のオッサンにも馴染みが無いから助かっているんだが、生まれてからずーっと今の住居にへばり付いている最古参のチャタコツにはディフェンスがマンツーで敷かれており、立場的にとてもサボりづらいんだと悩んでいた。
つーか、ハナっからサボる事を考えるとは何事だ、と叱ってみると、誰か知ってる人が出るなら出てもいいんだけどなー、とサボる気満々でいるオレを遠回しに誘い出す始末だ。
まぁそんなに困ってるなら出てやってもいいかな、と少々思いながらも、何がそんなにイヤなのか訊いてみたところ、何でも、同じ棟の住民を誰か誘って、二人で行く決まりになってるらしいのだ。
おいおい、それは困るぜ。同じ棟にはこれといった親しい人なんていない。近所付き合いが上手くいってない訳じゃないが、ハイそうですかと連れて来れるような人なんて皆無だ。
そしてさらに、時間になったらそのご近所さんと二人で「火事だー!!」と騒ぎながら階段を駆け下りなければいけないと云うのだ。
ご近所さんにそんな事してくれなんて、頼める訳ねえだろハゲー。
第一、縁の薄いご近所さんの前で、いきなりそんなハイテンションを披露しろなんて。
それがどんなに恥ずかしい事なのか、大人だったらそのぐらい分かれや。
一体、役員のオッサンは、どれだけアホなんだろうかと思う。

翌日。もちろん参加するつもりなどチャンチャラありゃしねえ。
一体どんな事になるのかと家で息をひそめていたら、予定の時間が来るや、役員のオッサンの声が拡声器に乗って近所中に響き渡った。

「これより、消防訓練を、行います。只今から、各階段を、それぞれの棟の委員が、火事だーーー!!と叫びながら、通ります。住民のみなさんは、それに従い、避難して下さい。繰り返し、申し上げます~」

チャタコツの云ってた事は本当だった。実を云うと半信半疑だった。
家で引きこもりつつも、近所の様子に耳を立てていたんだが、もちろん他の棟でも「火事だー」なんて叫ぶような能天気はいないようだ。
結局、役員のオッサンのカラ回り企画で終わったようだが、危うく大恥かくところだった。

高校生の頃、夜中に友達とドライヴして遊んでて、住宅街を抜ける時に窓から顔を出して「火事だーーー!!」って叫んで喜んでたというアホな事を思い出した。
仮にそんな無邪気な少年時代に戻ったとしても、この消防訓練はムリです。
今回の委員はこれにて終わったけど、次回また委員の番が回ってきた時はさすがに考えちゃうなー。