おばあちゃんの三年忌のため、田舎へ行った。

三回忌とは云わず、そっちの地方独特のローカルルールによる「三ねん忌」なんだそうだ。と云う割には実際はまだ二年目なんだけど、どーゆー訳かこのタイミングで執り行う事になってるらしい。
うちのおばあちゃんが主役って事は、オレは客じゃなくて主催の側だ。
だから、早朝から支度に奔走するハメになり、朝イチで和菓子屋へ行った。注文しておいた大福を取りに行くためだ。
コレが昔ながらの田舎風の店で、とてもいい。
店に入ると、出来立ての大福を一個一個包んでいるところだった。
「スイマセン、今できますので」と云う店の奥さんはオレよりちょっと上ぐらいだろうか、今でもスタイルの良い美人さんで、ストリート系のニット帽なんか被っていてお洒落っ気もある。
田舎の素朴な和菓子屋さんにはいい意味で全然似つかわしくなくて、そのギャップを少し面白く思いつつ店内を見回すと、そこにはいかにも祖父の代から受け継いで来ました風な空間が広がっている。いい店だなあと思いつつ商品の陳列とか貼り紙を見るとジェームス・ブラウンのポスターがまた昭和の風情を・・・・・・ J B ? ! ? !
有り得ねえよ。和菓子屋とJBは混在し得ねえよ。
この美人の奥さん、田舎に染まらない垢抜けの秘訣がまさか、反骨精神だったとわー。
奥さんのニット帽にプリントされたドクロが「何の因果でこんな田舎であんこを練る羽目に・・・」なんて云いたげな顔をしてた。

オレは家でカレーを食べる時、にんじんをなかなか食べない癖がある。
うちのカレーやシチューは具を大きめに切ってゴロゴロ入れる方式なんだが、このサイズで加熱したにんじんが何だか好きらしく、おいしい物は必ず最後に食べていた幼少期の習性が肉やじゃがいもよりも、どーゆー訳かにんじんをチョイスしたまま今日に至っている。
法事の前にみんなでカレーを食べた時に、母が面白がってオレのそんな習性を暴露したもんだから、親族が集まってから少々面倒な事になった。
「ノブちゃんよ、にんじんいっぱいあっがらこっぢくっといいっぺよ」
(ノブユキさん、にんじんが沢山ありますのでコチラへいらっしゃい)
オレは畜生同然の扱いですかい?
確かにオレのにんじん好きのルーツはあまり誉められた内容ではない。
幼少の頃、小学校の飼育小屋にいたウサギに生にんじんをあげてたら、あまりにも旨そうに喰うもんだから羨ましくなって八百屋へ走り、上手い事云って仕入れた生にんじんを持って飼育小屋へ戻り、わざわざウサギの前で喰ってみせたら妙に旨かったのがきっかけである。
と云っても、この日の食卓に並んだ中で、にんじんが一番の好物な訳がない。
隣ではおばちゃんが「ヒロコちゃんは肉と魚、どっちが好きなのけ?」なんて云ってる。
オレにも肉とか魚とか訊けや。にんじん以外でも喜んで喰うとこ見せてやるっつーの。
そんなにんじん責めも終わった後で、美人の奥さんの大福を喰ってみた。
旨かった。ファンクなグルーヴを感じました。
味の方までゲロッパだったらどうしよう、と思ってたけど。嘘ですが。